【森孝允】1st cassette tape『つみびとのうた』
振り子時計のように生活/人生を刻むウッドベース
不器用でまっすぐな41歳の処女作
■ZOMBIE FOREVERより
僕がやっている自家焙煎珈琲とカセットテープのお店『のら珈琲』に平井正也さんが来てくれたのは2018年4月30日。
そのとき「これよかったら聴いてみて」と手渡してくれたのが森孝允さんのデモテープでした。
早速お店のオーディオで再生するとボーンボーンというヘナヘナなウッドベースにヨレヨレの歌声が響いた。
日常を綴った歌詞が心地よくて淡々と呟くような音楽に「大好きなDrag CityのSmogみたいだ!」と、いつの間にか心の中でガッツポーズをしていた。
僕は平井さんと会うのは2回目で、ほとんどしゃべったこともないし胸の内を明かした事もないのに、この音楽はZOMBIE FOREVERだとわかっていたのだ。
「もしよかったらリリースしてくれないかな」と少し照れくさそうに直談判してくれた平井さんの顔が忘れられない。
二つ返事で引き受け、数ヶ月後にツアー先のつくばまでLIVEを見に行った。
繰り返し聴いていたデモテープと同じ!
声は緊張で震えてるしウッドベースも振り子時計のようにボーンボーンと鳴っている。
森さんは今後これ以上もこれ以下もない!このままだ!最高!そう思った。
森 孝允(もり たかよし)
1977年 大分県出身 大分県中津市在住
中学生の頃にエレキベースでバンド活動を始め、高校卒業して上京し、紆余曲折ありながら、15年間東京で陽の目を見る事なく音楽活動をする。祖父の危篤をきっかけに大分県へ帰郷。実家で埃を被っていた、ウッドベースを弾き始め、突如歌い出す。その頃、平井正也と出会い、デュオとして活動をスタート。無理して上手に見せようとも、わざと下手に見せようともしない、日本一飾らない歌。それでも滲み出る味がその魅力のほとんどを占める。