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【COLUMN】ゾンフォーコラム7月号 / 投稿者 : i need me. 阿久津和也

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『東京散歩入門講座』

お疲れ様です。阿久津です。
普段はお米を売ったり、PAをしたり、たいしてやりたくもない仕事も少しやりながら生計を立てている、東京は砂町という下町出身の25歳男性です。




i need me.という、「自分大好きだな名義」で音楽活動をしており、一時期改名も考えましたが、最近になってわりかし間違いでもないことに気がつきました。
なんだか大切なことなのではないのかな。と思うのです。I need me.という心持ち。
わたしの心にアイニードミー。
あなたの心にアイニードミー。

さてさて、今回お任せされたコラム、mokkoさんからのリクエストが『散歩について』という事なので、

「東京散歩入門講座」

とでも題を打ち、東京を散歩する際のポイントを抑えていこうかなと思います。

季節は春!
食べ物はお米!
スイーツは豆かん!
女性のタイプは陶芸をしていそうな人!
将来の夢は主夫!
そんな質問同様に
趣味は散歩!
と何の迷いも無く答えられるくらいの散歩フリークなのです。

基本的に東京23区が好きなので、市のことは知りませんし興味がありませんし。
前置きが長くなりましたが、それでは始めましょう。めざせ!脱散歩の達人!


『自分探しをしない』
まず初めに、これは大切なポイントです。
何気ない日常に幸せを見つけることは大切ですが、はたして散歩をしたところで「本当の自分」なんてものは見つかるのでしょうか?
そうですね。見つかりません。
本当の自分を知るということは、イコール今の自分を知ることなのではないでしょうか。
自身のTwitterやらfacebookやらのタイムラインを眺めてみてください、どこにも向け様のないストレスを感じている方はいらっしゃいませんか?
しかし、残念ながらそれがあなたの今いる場所です。それが現状です。
変わりたい 思うのならば、今の自分の現状を見つめ直しましょう。
散歩によって自分を探すくらいなら、団地や精算機のひとつでも探してください。
散歩にも言える事ですが、自分探しと称した一人旅などもこれにあてはまります。
そんな人はきっと、自分探しの一人旅なはずのに、SNSに写真をアップしてみんなの反応を期待してしまうでしょ?
どこかに自分を探しに行かないでください。自分はそこにいます。


『武蔵野台地を感じる』
東京は大きく分けて、武蔵野台地と下町低層地区に分けることが出来ます。
この武蔵野台地は、関東平野の南半分、荒川と多摩川とにはさまれた地域に広がっている台地です。
多摩川が奥多摩の山を削りながら流れ、青梅を扇頂とした扇状地を形成し扇状地が基盤となり台地を形成しています。
わかりやすくいうと、青梅を頂点として、隅田川のある東に向かって、傾斜上に扇形の台地が広がっているということです。
同じ東京でも、青梅と新宿では標高が150m近く違います。下町の低層地区に行くと、海抜0mなんてところは当たり前なので、空の高さが全然違います。
僕も散歩を続けて、高低を感じ取れるようになってきたので、ぜひ皆さんにも感じ取ってほしいです。だいたいの高低が分かるようになってきます。

武蔵野台地の境目を見たい方は、上野に出かけた際に見てみてください。崖の上にある上野恩師公園が武蔵野台地で、駅やアメ横側が下町低層地区です。
たしか、JR山手線の日暮里駅なんかもそうだったはず。線路側が下町低層地区で、その側面に武蔵野台地の崖がのびています。
武蔵野台地を形成している地層を見たい方は、世田谷の等々力渓谷へ足を運んでみてください。23区唯一の自然渓谷で、地層がはっきりと観察出来るポイントがあります。
なんと!!かの有名な関東ローム層が生で観れちゃうんです!


『その街や区の歴史を知る』
同じ東京23区といえども、場所によって人々のカラーが違います。(もちろん一概には言えませんが)
例えば、何故、世田谷に芸術家や文豪などが多く住んでいたか?何故、錦糸町には外国人が多いのか?鴬谷はなんでああなっちまったのか?とか。
江戸時代から続く風俗の名残りなどを調べると、面白いかもしれませんよ。赤線地帯だった場所とかも。
東京には、関東大震災と空襲という人々の生活が変わる大きなポイントがあります。
その以前以後での、街並みや人々の移り変わりを知りましょう。文化センターなど公共施設に足を運んでみるのもあり。(だいたい月曜休みなので気をつけて)


『何か目的となるものを集める』
趣味で写真を撮られている方も多いかと思いますが、何かテーマを決めて収集してみるのは楽しいかと思います。
僕はコインパーキングの精算機と、一丁目一番地の看板、ださいアパート名、積まれているもの等にテーマを定めて撮っています。
他人にこう見られたいとか、良く見られたいとか、洒落乙に見られたいだとか、そんなSNSが生みだした現代の病に負けないでください。
余計なことは考えなくて良いのではないでしょうか。好きなものは好きだと言えば良い。好きな人には好きだと伝えれば良い。
例えば、ガスメーター(マイコンメーター)だけでも、様々な種類がありますし並び方も様々です。
あなただけのスペシャルを見つけて、毎日がスペシャル。


『初心者は都心の隣の駅』
近所以外で散歩がしてみたいけれど、どこに行けばよいかわからない。
そんな方は、普段行き慣れている、都心の隣の駅(街)を散歩してみてください。
例えば、新宿の隣の南新宿(小田急線)、池袋の隣の大塚(山の手線)、渋谷の隣の神泉(井の頭線)、池尻大橋(田園都市線)など。
都心の隣の街は、開発の手がまわりにくい傾向にあると思われます。
大都会の喧騒を一歩抜ければ、昭和の様な街並みに見えたりする。それが東京散歩の醍醐味でもある気がします。
今にも崩れ落ちそうな建物を挟む、小綺麗なビル、長屋を見下ろす高層マンション群。そんな混沌さが東京なのかな。とも思います。


『今しか見れないものを見る』
今年の1月に、北区王子の飛鳥山の麓あった、長屋造りの飲み屋横丁「さくら新道」が火の不始末によって全てが炎上しました。
戦後すぐに建設され、関東大震災にも耐え、60年近く変わらない姿だった場所が、一瞬にして消えてなくなってしまいました。
開発の著しい東京では、見ることの出来なくなるものも多いですが、予期しなかったことで見ることの出来なくなる物もあります。
今見ることの出来るものは、今見に行きましょう。後悔したって後の祭りです。
僕は木造モルタル作りの昭和アパートに住んでおりますが、この昭和アパートだって、もうこれから作られることはないでしょうから、今しか見れないものなのではないかと思います。
建築法が改正されていって、昭和アパートには今の法律では作れない建物がたくさんあります。◯◯荘とかは特に見ておくべきです。


まだまだ話足りないですが、おおまかにはこんな感じです。
これらのポイントを抑えておけば、あなたの東京散歩ライフはさらに潤ったものになることでしょう。
もう散歩の達人に頼る必要はなくなります。

日常生活からあそびを見出せれば、生活はもっと豊かになるのではないでしょうか。
というのが、ここ近年、僕自身が考えているテーマでもあります。
(最近、考えたあそびは、ださい名前のアパートや今にも崩れそうなアパートの間取りと家賃調査です。
スマートフォンをお持ちの方は、スーモとホームズのアプリを今すぐダウンロードして散歩に出かけよう!)


余談ですが、先日、近所に住んでいるパワフルパワーの野村さんと、お互い初めて入るバーに飲みに行ったのです。
その時に隣に座った、推定50代位のサラリーマンが、

「下町の人間は、ギャーギャー言いながら酒を呑むのが好きだから、下町にこういうバーがあっても違和感があるんだよね(どやっ!)」

なんてバーテンに話していて、僕の目の前で下町ディスを繰り広げていたわけです。
もちろんお声がけをして、下町出身なことはお伝えしておきました。
正直、もちろん一理あるのかもしれませんが、いい歳をされた大人のああいった発言は「恥」です。
バーテンもバーテンでしたが、このおじさまの様に、中途半端な知識を持って歳をくってしまわぬように。きちんと知識を持っておくべきなのです。
最下層も最高層も知った上で、自分の中での選択をしていけば良いのではないでしょうかね。

2012.7 i need me.阿久津和也


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by mori-koji | 2012-07-29 08:47 | COLUMN

ゾンフォー最前線


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